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烏賊の塩辛が見に行った映画や展覧会の感想など、日々感じたことを徒然に書いていきます。


by ika-no-shiokara
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横浜ジャズプロムナード2006

横浜ジャズプロムナードに行って来た。今年は所要で土曜日の半日分しか聴く事が出来なかったが、それでも十分楽しむことが出来た。

最初に聴いたのが井上淑彦clepsydra。ランドマークホールの場所がわからなくてちょっと迷ったが、ランドマークプラザの上の階にあった。去年横浜ジャズプロムナードでいろいろなホールに初めて入り、港の眺めがよいホールが多いことに驚いたが、ここもロビーからの眺めは素晴らしい。会場に入るともう演奏が始まっていて、佐藤芳明のアコーディオンと林正義のピアノがかけあいをやっていた。ミュージシャンたちが楽器を使っていかにも楽しそうに会話しているのを見ていて、こちらも幸福になる。去年もジャズって良いなと感じたのがこんなやりとりだった。演奏した曲も、上品な美しいもの、ちょっと変わったリズム感を楽しむものなど様々で、あっという間にステージが終わってしまった。

ランドマークホールにそのまま留まり、次の髙樹レイ・スペシャル・クインテットを聴く。髙樹レイは声量豊かに歌いまくる。うますぎてちょっと下品にならないかと感じるほど。バックバンドがすごかった。トロンボーンの向井滋春、ピアノの市川秀夫、ベースの池田芳夫、ドラムスの藤井学の名手ぞろい。なんと向井滋春のチェロ演奏まで飛び出したのにはびっくりした。

最後に関内ホールに移動し、トータル・エクスペリエンツ・ゴスペル・クワイア(TEGC)を聴く。このグループはシアトルをベースとしたゴスペル・コーラス・グループ。演奏の前にこのグループの招聘に力があったタイロン橋本氏による紹介があり、ほんとうのゴスペルを味わってくださいとの言葉に期待が高まる。TEGCが舞台に登場すると、老若男女様々のメンバーがいるのに驚く。黒人の中に白人(もしかしたら米国の基準では黒人になるのかもしれないが日本人的には白人の風貌)も混ざっているし、小学生くらいの男の子もいるし、およそプロのグループのようには見えない。TEGCのメンバーも、我々観客も、最初はお互いに緊張していたが、数曲演奏が進むにつれお互いにリラックスしてきて、ホールが盛り上がっていく。メンバーが交代でソロを務めるのでだんだんわかってきたが、今ソロを歌った18歳の女性はその2曲前にソロを歌った女性の娘だったり、まさに家族のつながりで構成されているようだ。歌は生きる喜びだとつくずく感じるひとときだった。

パンフレットの対談に書かれていたが、野毛の大道芸と横浜ジャズフェスティバルは今や横浜が全国に誇る文化的イベントとなった。何といってもすごいところは、それらが無数のボランティアに支えられて運営されていることだ。お金をかけて外国のスターを集めることは出来ても、このようなボランティア集団による市民の市民によるイベントは生半可なことでは作れまい。横浜市民として誇りに思う。

ところで、どの会場にもロコ・サトシの絵が飾られていた。彼は本牧ジャズフェスティバルでも活躍していたが、本当に横浜のカオとなった。首都圏で東京以外に文化発信のできる数少ない都市である横浜。ロコ・サトシも、他のアーチストたちも、もっともっとがんばって横浜から文化を全国に、いや全世界に発信してほしい。大げさでなく、それが世界の平和にもつながると信じた今日だった。
by ika-no-shiokara | 2006-10-10 22:54 | ジャズ