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烏賊の塩辛が見に行った映画や展覧会の感想など、日々感じたことを徒然に書いていきます。


by ika-no-shiokara
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鬼太鼓座コンサート

浅草公会堂で鬼太鼓座(おんでこざ)のコンサートを聴いた。

浅草は久し振り。少し早めに東京メトロ銀座線の浅草駅を降りて、仲見世を通って浅草寺にお参り。伝法院通りなど周辺地区が電柱を地下に埋めてきれいな街並みになっていたのに驚く。街歩きを楽しめる素敵な場所だ。

行く前に浅草公会堂のWeb Pageを見て、最高の設備を整えた日本伝統芸能のメッカという印象を受けた。現地に到着してみると繁華街の中でひときわ存在感を示していて、すぐに見つけることが出来た。

鬼太鼓座(「おんでこざ」と読むらしい)は故田耕(でん・たがやす)氏が創設した和太鼓集団。今回は田耕氏没後5年の追悼コンサートとのことだった。

開場は子供づれの家族が目立ち、くつろいだ雰囲気。チケットを見ると「後援:浅草おかみさん会」などとあり、浅草の地元の人々も楽しみに聴きに来ているようだ。
コンサート開始時間前に、太鼓の音が始まる。私は3階席だったのでよく見えなかったが、「オープニングアウト」の開始のよう。ひとしきり演奏が終わるとあたりが暗くなり、大太鼓と尺八の鬼気迫る演奏が始まる。田耕氏の追悼の曲らしい。客席で子供が泣き出したのでちょっと心配になる。と、次の曲はがらっと変わって締太鼓(小型の太鼓で縄を締めることにより音程を調整できる)7台によるリズミカルな曲が始まる。子供の泣き声が治まった。その訳は、リズムに合わせて汽車ポッポの汽笛がなったかと思うと本当にミニチュアの汽車が舞台の上手から下手に走り出したからだ。
このあとも太鼓の演奏に交えて、剣玉を使って太鼓の調子に合わせた芸を見せたり、津軽三味線、義太夫三味線の演奏があったり、それに合わせて弓を的に当てたり、サービス精神旺盛な舞台が続いた。そしてこの団体のトレードマークのようだが褌1つで太鼓をたたく姿に、客席も次第に盛り上がっていった。

最後の観客挨拶でも言っていたが、この団体は日本の伝統芸能が田の畦道で演じられていた精神を忘れずに、観客を喜ばせることを大切にしているように感じた。芸術性とエンターテイメントが一体となっているのが本物の芸なのだろう。「手作りのコンサート」ということばが似合う素晴らしい舞台だったと思う。

浅草の町と、鬼太鼓座の演奏で幸せな気持ちになった土曜の午後だった。
by ika-no-shiokara | 2006-07-01 22:51 | 邦楽