烏賊の塩辛が見に行った映画や展覧会の感想など、日々感じたことを徒然に書いていきます。


by ika-no-shiokara
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カテゴリ:邦楽( 5 )

悠久の聲

ドックヤードガーデンで行われた「悠久の聲-高野山・比叡山の声明-」に行って来た。

以前から声明を聴いて見たいと思っていたが、横浜で、しかも高野山・比叡山の声明が一度に聴けるとのことで期待して行った。当日の新聞にも前日のリハーサルの様子が記事になっており、注目度も高いようだった。

ドックヤードガーデンは、旧日本船渠(三菱重工横浜造船所の前身)の第2号ドックを保存・活用した施設で、ミニコンサートなどの小イベントを時々やっているが、こんな大イベントを行うのは珍しいのではないか。(有料のコンサートでも外から聞けちゃうしね。)開国後の日本の躍進を象徴する近代化遺産の代表例で、重要文化財にも指定されているこの施設で、千年以上の伝統を持つ声明が唱ぜられるというのも興味深い。

さらに面白いのは、「横浜アーツコラボレーション2006」と称して、石井幹子さんの照明デザインによる演出がされたことだ。新聞記事でも大きな写真が掲載されていたが、ドックランドヤードのすぐ横の横浜ランドマークタワーの壁面に毘沙門天とマンダラ図が交互に大きく投影された。あたり一面が法要の場と化してしまうという何ともスケールの大きな話だ。

最初に比叡山延暦寺により「鎮将夜叉大法」が行われた。遠くからかすかに聞こえていた雅楽が次第に大きく聞こえてきたかと思ったら舞台後ろの階段から楽器を抱えた僧侶の列が入場。その後森川宏映師以下20名程の僧侶が入場。森川師が「ここ横浜で世界の平和を祈って法要を営む」ような主旨の話をお経を読む調子で唱える。ああ、そうか声明といっても要は仏教の法要を行っている訳で、唱えるのはお経なんだな、と自分が基本的なことに気づいていなかったことを悟る。そこから1時間程かけて「鎮将夜叉大法」が行われた。森川師が経文を唱えると、その他の僧侶達がある時は座り、ある時は立ち上がって合唱する。後でパンフレットを読むと、大導師が毘沙門天の功徳をひろく大衆に給わらんと祈願するのを周囲の式衆が応援しているのだと言う。

次に高野山の「真言声明の会」(SAMGHAというNGOを設立しているそうだ)が後方から登場。大きなシンバルを抱えた僧侶が激しい口調で唱え始める。先ほどの比叡山が静でこちらは動という印象。法螺貝を吹く僧侶を先頭にして舞台に向かって行進しながら紙のようなものを蒔いている。自席に飛んできたものを拾ってみると、少し厚めの紙を木の葉状に切ったもので、木の葉のような絵が描かれていた。
行列の最後には宮田永明師に大きな傘をかざす僧侶と2人の稚児が歩いていた。舞台につくと、「理趣三昧」が始まる。こちらは「理趣経」を読誦するもので、欲望の実相について対象のあるがままの姿を眺めることにより、なにものにも束縛されない安らかな境地に入ることを説いているそうだ。舞台に立つと、先ほどの比叡山のものとあまり変わらない感じ。というと怒られるか。こちらも約1時間の法要だった。

最後に、比叡山・高野山の僧侶が一緒に舞台に立って比叡山は「能陀羅尼」、高野山は「対揚」を行った。(一緒に同じものを行っているように見えたが、パンフレットに別々に書いてあったのでそうなのだろう。)この頃になると、寒風が舞い、あたりの独特の雰囲気に飲まれて半分感覚が無い感じ。入り口で配られたホッカイロもあまり効果は無いようだ。ちらほらと途中退座する聴衆も出始めて、どこまで続くのかと思ったころいつのまにか法要が終わった。

休憩なしの2時間半のイベントに最後はすこしばて気味ではあったが、めったに遭遇できない貴重な体験で、とても面白かった。別の機会があればまた声明を聴いてみたい。
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by ika-no-shiokara | 2006-10-15 11:39 | 邦楽
池上本門寺で行われたSlow Music Slow LIVE '06に行って来た。7/22~23の2日間行われた内の7/23の方を聴いた。

東急池上線ののどかな電車に久し振りに乗って、池上駅で降りた。本門寺までの通りではちょうど夏祭りだったらしく、子供達が神輿を牽いていた。人の波をかきわけてようやく池上本門寺の山門までたどりついたが、境内は静かでとてもコンサートの雰囲気ではない。やっとSlow Music Slow LIVE '06の看板を持ったスタッフを見つけ安心する。境内横のコンサート会場に着いたときにはオープニングアクトの中孝介(あたりこうすけ)の最初の歌が始まったところだった。

種子島出身の若々しい島歌の後には、プログラムには載っていなかったがペペチオの2人組の朗らかな演奏が続く。次のアン・サリーはアコースティックギターを伴奏にスタンダードナンバーを訥々と歌う。まさにSlow Musicという感じ。本門寺の会場は梅雨の雨空に覆われていたが、何とか雨が降らずに持っていた。逆に真夏の暑さに苦しむこともなく、のんびりした雰囲気が心地よかった。

だが、ここから舞台が俄然盛り上がる。Monday満ちるのステージは、彼女の歌唱力とトランペットの夫君の力強い演奏が共鳴してエネルギッシュに展開された。彼女はジャズピアニストの穐吉敏子の娘だとか。去年横浜ジャズフェスティバルで母君の素晴らしいピアノ演奏を堪能したが、娘の彼女のヴォーカルも素晴らしい。(どうも筆者と同い年のようだ。美しい彼女はもっと大分若く見える。)
次にゴンチチが登場。実はこのチケットを買ったのは生ゴンチチが見たかったからなのだ。純白の揃いのスーツに真っ赤なギターを抱えてゴンチチの2人が登場。丁寧な標準語に時折関西弁を交えた語りはいつもNHK FMで聴いている調子。ゴンザレス三上氏の引退後に喫茶店を作る話や、ムシがチチ松村氏の腕に止まって離れなかったりするハプニングなど、のどか(?)な語りとは対照的に、演奏はエネルギッシュそのもの。

トリを勤めたのが吉田美奈子&河合代介 feat. 渡辺香津美。吉田の歌唱力・表現力は群を抜いている。河合代介のオルガンも魅力的。渡辺香津美のギターはさすが。圧倒的な演奏に、夜も更けてきた会場は盛り上がった。会場の後ろでは本門寺の五重塔がライトアップされ、厳かな雰囲気を醸し出していた。

池上本門寺では、寺院に篭って修行するばかりが宗教の役割ではなく、社会に積極的に参加すべきだとの考えから、このライブコンサートに毎年会場を提供しているという。また、ゴミ拾いのボランティア団体が2つ参加して、会場のクリーンアップと活動のアピールを行っていた。会場で販売していたSlow Foodは残念ながら食べられなかったが、また機会があれば食べてみたい。
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by ika-no-shiokara | 2006-07-23 23:57 | 邦楽

鬼太鼓座コンサート

浅草公会堂で鬼太鼓座(おんでこざ)のコンサートを聴いた。

浅草は久し振り。少し早めに東京メトロ銀座線の浅草駅を降りて、仲見世を通って浅草寺にお参り。伝法院通りなど周辺地区が電柱を地下に埋めてきれいな街並みになっていたのに驚く。街歩きを楽しめる素敵な場所だ。

行く前に浅草公会堂のWeb Pageを見て、最高の設備を整えた日本伝統芸能のメッカという印象を受けた。現地に到着してみると繁華街の中でひときわ存在感を示していて、すぐに見つけることが出来た。

鬼太鼓座(「おんでこざ」と読むらしい)は故田耕(でん・たがやす)氏が創設した和太鼓集団。今回は田耕氏没後5年の追悼コンサートとのことだった。

開場は子供づれの家族が目立ち、くつろいだ雰囲気。チケットを見ると「後援:浅草おかみさん会」などとあり、浅草の地元の人々も楽しみに聴きに来ているようだ。
コンサート開始時間前に、太鼓の音が始まる。私は3階席だったのでよく見えなかったが、「オープニングアウト」の開始のよう。ひとしきり演奏が終わるとあたりが暗くなり、大太鼓と尺八の鬼気迫る演奏が始まる。田耕氏の追悼の曲らしい。客席で子供が泣き出したのでちょっと心配になる。と、次の曲はがらっと変わって締太鼓(小型の太鼓で縄を締めることにより音程を調整できる)7台によるリズミカルな曲が始まる。子供の泣き声が治まった。その訳は、リズムに合わせて汽車ポッポの汽笛がなったかと思うと本当にミニチュアの汽車が舞台の上手から下手に走り出したからだ。
このあとも太鼓の演奏に交えて、剣玉を使って太鼓の調子に合わせた芸を見せたり、津軽三味線、義太夫三味線の演奏があったり、それに合わせて弓を的に当てたり、サービス精神旺盛な舞台が続いた。そしてこの団体のトレードマークのようだが褌1つで太鼓をたたく姿に、客席も次第に盛り上がっていった。

最後の観客挨拶でも言っていたが、この団体は日本の伝統芸能が田の畦道で演じられていた精神を忘れずに、観客を喜ばせることを大切にしているように感じた。芸術性とエンターテイメントが一体となっているのが本物の芸なのだろう。「手作りのコンサート」ということばが似合う素晴らしい舞台だったと思う。

浅草の町と、鬼太鼓座の演奏で幸せな気持ちになった土曜の午後だった。
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by ika-no-shiokara | 2006-07-01 22:51 | 邦楽

コブクロ「NAMELESS WORLD」

昨年末に購入したコブクロの「NAMELESS WORLD」だが、大好きなアルバムになってきている。

コブクロを初めて知ったのは、TSUTAYAで彼らのメジャー・ファースト・アルバムである「ROADMADE」を見かけて借りた時。「ROADMADE」をすっかり気に入ってすぐにセカンドアルバムの「grapefruit」を借りた記憶があるから、2002年の秋頃だろうか。その後の3rdアルバム「STRAIGHT」、4th「MUSIC MAN SHIP」、そして昨年の5th「NAMELESS WORLD」は発表時にすぐ購入して聴いた。どれも期待を裏切らない出来、というかどんどん良くなってきている。世間の評価もどんどん高まって、昨年はついに紅白にも出場した。

「NAMELESS WORLD」だが、やはり白眉は「桜」だろう。以前からコブクロを聴いていたと言っている割には物知らずで恥ずかしいが、この「桜」は彼らがコンビを組んで最初に作った作品だということを最近知った。そうすると、コブクロは最初からこの完成度に達していたということになる。すごいことだ。よく、処女作を見ればその作家の生涯の全ての作品の要素が見つけられると言うが、もしかしたらコブクロについても将来そんなことが言われるのかもしれない。

桜の花が散るたびに、別れの思い出がよみがえる。別れを乗り越えて大人になっていった自分。「名も無い花には名前を付けましょう。」そんな思い出を大切にしよう。くじけそうなときには「誰かの声でまた起き上がれるように」。
今春の卒業式では、この曲が多くの学校で歌われるようだ。もともとは恋愛の歌なのだろうが、なるほど卒業式の歌にぴったりなのかもしれない。そんな学校にはコブクロが無料で楽譜をダウンロードできるようにするとのこと。この曲は今後も人々に歌い継がれる曲の1つになっていくだろう。
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by ika-no-shiokara | 2006-03-05 14:35 | 邦楽

夏川りみ「彩風の音」

昨年出た夏川りみのアルバム「彩風の音」を聴いている。

夏川りみと言えば昨年末紅白歌合戦で4年連続「涙そうそう」を歌ったことが話題になったが、この新作のアルバムを聴いていると何故このアルバムの曲を選ばなかったのだろうと不思議なくらい魅力的な曲が並んでいる。
アルバムの宣伝に「超豪華作家陣書き下ろし」とあるように、多彩な作家が名を連ねる。「さようなら ありがとう」はコブクロの小渕健太郎。「シマダチ」はゴスペラーズの村上てつや。「ココロツタエ」は谷村新司。その他、上地等(BEGIN)、、宮沢和史(The BOOM)、森山良子など「沖縄系+涙そうそう系(?)」の人々や「小山薫堂+佐藤竹善」なんていうのもある。それだけ夏川りみが期待を受けているのだろう。
どれをイチオシにするか迷うが、やはり「シマダチ」か。来年の春には卒業して離れ離れになってしまう「僕たち」が、みんなで騒いで夜を明かした夏休みや回り道して帰った日々を決して忘れないと思う。ジンとくる歌詞とメロディに、夏川りみの澄んだ声が感動を呼ぶ。でも「愛は叶えるためにある」で始まる「しのぶ花」も良かったな。いや、「愛のチカラ」のハーモニーも捨てがたいかも。比較して何度も聞き比べるうちに、ますます迷うばかりだ。
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by ika-no-shiokara | 2006-02-10 00:17 | 邦楽