烏賊の塩辛が見に行った映画や展覧会の感想など、日々感じたことを徒然に書いていきます。


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神奈川県立音楽堂で、ジャン=イヴ・ティボーデのピアノリサイタルを聴いた。

イヴ・ティボーデ氏は40台半ばのフランス人人気ピアニストで、パンフレットを見ると本当に世界中をかけ回ってコンサートを開いているのがわかる。(ちなみに彼のような姓を「ティボーデ氏」のように略するのは正しくないはず。文化人類学者のクロード=レヴィ・ストロースをストロース氏と略してはいけないと、以前に物の本で読んだことがあるから。)彼がファッションにうるさいのは有名らしく、今日もさっそうとしたスーツ姿でステージに登場した。(私はその辺は疎いのでよくわからないが。)

今日のコンサートは盛りだくさんのメニューだった。前半はフランスもの尽くし。まずはエリック・サティの曲を3曲ほどやったあと、ドビュッシーの前奏曲集第2集から3曲。そしてオリビエ・メシアンの「幼な子イエスにそそぐ20のまなざし」から最後の曲。後半は打って変わって若きブラームスの秀作であるピアノソナタ第3番。それにアンコールも3曲やったのだが、イヴ・ティボーデ氏はどの曲も楽々とこなしてしまう。すごいパワーだ。

フランス人のピアノ曲は久し振りに聴いたと思う。学生の頃、高橋アキのコンサートを聴きに行ったっけ。現代音楽を一生懸命聞こうとして突っ張っていた、その合間のちょっと疲れた時にエリック・サティの音楽が心地よかった。ドビュッシーは凄いとは思うのだがすぐ疲れて長く聴いていられない感じ。オリビエ・メシアンの曲は、こてこての宗教音楽のようだが、なぜか耳に素直に入って、よく聴いていた。
エリック・サティは別として、ドビュッシーもメシアンも技術的にも難しいと思うのだが、イヴ・ティボーデ氏は難なくこなしてしまう。こんなに軽々と料理されてしまうと、こちらはちょっとついていけなくなる感じ。

パリ音楽院に学び、ラヴェルなど近代フランス物を得意とする彼が、ブラームスの初期のピアノソナタを演奏したのがちょっと意外。彼のホームページを見ると、いくつものコンサートでこの曲を奏いているようだから、今気に入っている曲なのだろう。40分にもおよぶ大曲で、華々しいところ、ロマンティックなところなど、いろいろな魅力がある曲だと思った。ブラームスはこの曲を20歳の時に作ったが、その後はピアノソナタを作曲することはなかった。勿論、彼は変奏曲や間奏曲など優れたピアノ曲をその後も作ったのだが、なぜピアノソナタは作らなかったのだろう?ベートーベンの晩年のピアノソナタを意識し過ぎていたためだろうか?

とりとめもないことを考えている内にコンサートは終わった。学生の頃からよくお世話になってきた神奈川県立音楽堂。隣の県立図書館も含めて、だいぶ古びた建物になってきた。来年、音楽堂は改修工事を行うそうだが、木のぬくもりをなくさずに、素敵なホールに再生されると良いと思う。音楽堂を出ると、目の前に横浜ランドマークタワーの大きな姿が目に入る。横浜の町も学生時代からずいぶん変わったものだ。
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by ika-no-shiokara | 2007-09-16 23:02 | クラシック音楽