烏賊の塩辛が見に行った映画や展覧会の感想など、日々感じたことを徒然に書いていきます。


by ika-no-shiokara
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日本の歴史をよみなおす

網野善彦「日本の歴史をよみなおす(全)」を読んだ。
日本の歴史をよみなおす (全) | 商品情報(書籍)

本書は高名な歴史家である網野氏が、一般の読者を対象に(特に氏が勤務していた神奈川大学の学生を念頭に?)わかりやすく、しかも氏の問題意識を鮮明にして書かれた作品で、非常に興味深く読んだ。

すぐれた本というのは、主張が明確で、具体的な根拠が明記されており、誰にもわかりやすいことが条件だと思うが、本書はまさにそのすべてを満たしている。例えば、網野氏が強調する「非農業民」の位置づけにしても、同氏が常民文化研究所の仕事として携わった時国家文書の具体的な事例から、非常に説得力に富んだ説明が書かれているので、読者の誰もが納得感を得られたのではないだろうか。本書は学術書でないこともあって、網野氏の直接の専門領域をはるかに超えて、表題の通り日本史を俯瞰した内容になっている。普通学者であればここまで踏み込んだ記述をすることを躊躇すると思うのだが、網野氏の勇気にはおどろくばかりだ。ただ、歴史家である網野氏は非専門領域であっても具体的な研究などを踏まえているはずで、小説家や思想家がイマジネーションを元に発言する(それはそれで興味深いものもあるが)のとは違った説得力がある。歴史学に限ったことではないのだろうが、すぐれた構想力に基づいた地道な研究が一番重要なのだろう。

先入観を捨てて、柔軟な考え方をしなければいけないことを改めて本書から教えられたように思う。
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by ika-no-shiokara | 2007-07-22 08:41 | 歴史
神奈川県立公文書館で開かれた古文書解読講座を受けてきた。

先日の記事に書いたように、この春から古文書の勉強を始めている。二俣川にある神奈川県立公文書館で古文書解読講座を開くという話を聞き、ちょうど勉強の良い機会だと思い、さっそく参加した。講座は毎日曜日に2時間半の講義を3回行うもの。100名の募集に約140名の応募があったようだが、絞込みをせず全員聴講を許したため、大会議室が満員の盛況となった。

第1回は東大史料編纂所の佐藤教授により、駆込寺と縁切り寺に関する史料を読んだ。駆込寺と言えば鎌倉の東慶寺が有名だが、東慶寺でなくても江戸時代に様々な理由で寺社に駆け込むことがあったと言う。離婚のために寺社に駆け込むというだけでなく、懲罰の一環として寺に入らせられることもあった。佐藤教授は古文書をどんどん読み進んでいき、ついていくのがやっとだ。最後にまとめとして説明されたのは、中世にアジールとして存在した寺社(網野義彦「無縁・苦界・楽」)の性格が織豊政権を経て解体し江戸時代を迎えるが、江戸時代でもアジールとしての側面が形を変えて縁切り寺のような形で現われた、という。

第2回は江戸東京博物館館長の竹内誠氏。幕末に焦点を当て、孝明天皇が徳川家茂に宛てた手紙や、紀州藩士が開港したばかりの横浜を訪れた時の日記を読んだ。竹内先生の話はとにかく面白い。先生は東京生まれの東京育ちで「ひ」と「し」の区別がつかないが親が田舎出身なので江戸っ子ではないという。べらんめい調でほとんど脱線ばかりする講義だが、その脱線が面白い。館長として天皇陛下や皇太子一家を案内した時の話など、「ここでしか聞けない話」をいろいろ聞けた。古文書については基礎的なことも丁寧に解説していただいたので初学者の筆者にはとてもよかった。

第3回は池上裕子成蹊大教授。戦国時代が専門の先生で、神奈川県にちなんで後北条氏が豊臣秀吉に滅ぼされたころの古文書を読んだ。古文書を丁寧に読み進んでいき、古文書講座としてはこの回が一番オーソドックスな講義のように思った。もし北条氏政が秀吉に早く恭順していたら歴史はどうなっただろう。家康が江戸に封ぜられることも無く、もしかしたら日本の都はまだ京都だったかもしれない。古文書は私達にいろいろなことを教えてくれ、いろいろなことを考えさせる。それにしても、もっと勉強しないと古文書をすらすら読み進むには程遠い状態。がんばらねば!
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by ika-no-shiokara | 2006-10-31 23:51 | 歴史